一昔前(十年くらい前かな?)は、コオロギ(蟋蟀)と言えばアロワナ用のフタホシコオロギが普通でした。初めて見た餌用コオロギというのもフタホシで、ヨーロッパイエコオロギを知ったのは結構後になってからです。
名前からも分かる通り、欧州原産の昆虫です。ちなみに、ヨーロッパイエコオロギというのは和名ではありませんので悪しからず。
一般名と云う処でしょうか。まぁ、別に呼称を標準和名や正式名称に統一する必要性とかはないので、どうでもよいと言えばそうなんですけどね。
警察官の事を、お巡りさんと呼んだところで、誰も文句を言いますまい? 正式名称なんてそんなものです。
却説、ヨーロッパイエコオロギは学名をAcheta domesticaと云い、外見は何となく似ていますがカマドコオロギと其程近縁という訳でもないようです。
略称は「イエコ」。フタホシコオロギに比べると一回り小さく(20mm前後)、色も褐色で、昔野原にいた蟋蟀(=エンマコオロギ)などに比べると、少々馴染みがない容姿をしています。
鳴き声は五月蠅いの一言なので、情緒の欠片もなく、鑑賞には不適だと思います。始めて聞く人は其程の嫌悪感を見せないのですが、そんな人でも部屋で同居を始めて三日もすれば辟易してくること請け合いです。
小さい割に跳躍力が優れており、更にフタホシに比べて格段に素早く、高さの浅い入れ物に入れようものなら、片っ端から跳躍して逃げ出すというお茶目さんでもあります。然し、欧州原産だけに寒さにフタホシコオロギに比べて強く、断水にも耐え、餌や水が不足しても共食いすることが稀であるという性質も手伝って、現在ではフタホシと用途による棲み分けが進んでいるものの、大きくシェアを広げた様です。
その性質から、養殖をする上では、フタホシコオロギよりもヨーロッパイエコオロギの方がより容易であると言えるでしょう。
終令虫のボリューム、そしておそらくは味から来る嗜好性は、種によってはフタホシコオロギの方が上であるようですが、養殖の容易さ、加えて言うならストックのし易さなどが、此処までヨーロッパイエコオロギを広めた要因の一つなようです。
亦、忘れられない長所として、色彩から両生類などには反応が良く、またフタホシコオロギに比べて耐水性がある、という点が挙げられます。水気の多いテラリウムの中でも長期間生存する為、ヤドクガエルを初めとする小型両生類の飼育にはフタホシコオロギよりも格段に適していると言えます。
但し、ネックとなるとは帰化の可能性と、室内に容易に居着くという性質でしょう。カマドコオロギが冬になれば全滅する(少なくとも暖かい処でしか生き残れない)のに対し、本種は冬の寒さにもかなり耐える様です。
小型のカエルなどの餌として養殖するならば、個人的には音色も優しいカマドコオロギをオススメ致します。